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電波によって成立しているITSとADAS。5G普及後の交通社会はどうなる?【IAAE2021セミナーレポート04:総務省】
5Gでは信号機が基地局化し、6G以降は信号機がなくなる!?
2021/05/02
3月17~19日にオンラインで開催された自動車アフターマーケットの総合展示会「IAAE2021 ONLINE Vol.1」で、総計43本が無料公開されたセミナー。
「自動運転社会の実現に向けた総務省の取り組みについて」には、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の江原真一郎課長補佐が登壇。ITS(高度道路交通システム)や5G(第五世代)移動通信システムを用いた自動運転社会に向けた取り組みについて講演した。
総務省の江原真一郎氏
冒頭では、自動運転やMaaS(Mobility as a Service)に期待されるものとして、交通事故削減と渋滞緩和を最重要項目と位置付けながら、高齢者などの交通弱者支援や輸送効率向上など、ニーズが徐々にサービスの方へ移行していくと予測。ITSについては、VICSやETCといったインフラから、現在の衝突被害軽減ブレーキなど自律型ADAS、さらに今後は車車間通信も併用した自動運転システムへ高度化していくとした。
自動運転やMaaSに期待されるメリットのイメージ図
そして、これらのITSインフラやADAS(先進運転支援システム)には電波が用いられており、それぞれに特定の周波数帯が割り当てられていることを図示している。しかし、この周波数帯の割り当ては全世界共通とは限らない。
ITSおよびADASと各割り当て周波数の一例
日本ではトヨタが2015年に760MHz帯を用いた世界初のV2X(Vehicle-to-Everything)通信システム「ITSコネクト」を実用化しているが、日本では主に放送に用いている5.9GHz帯を、海外ではV2Xに用いる検討が進行。また、ITSや自動運転システムが進化し重要性も高まっている日本の近況を踏まえ、周波数割り当ての再編を進める計画を示している。
これに伴い、自動運転に通信が必要となるユースケース25例の割り出しが内閣府主導のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)によって行われ、それぞれの技術的要件(カバーするエリアの広さ、遅延への許容性、通信データ量など)に合わせて周波数の割り当ても検討を進めていることを明らかにした。
V2Xに関する海外の周波数割り当て状況
そして、2020年3月より商用サービスが開始された5Gは、1つの基地局がカバーできるエリアが狭い一方、最大通信速度は4Gの約10倍に達することから、特定のエリアに限定したローカル5Gとキャリア5Gの連携を見据えた自動運転バスや、交通信号機を5Gの基地局としてより精緻な交通システムを実現するための実証実験を行っていることに言及している。
さらにビヨンド5G、つまり6G以降の通信システムでは、サイバー空間と現実世界が一体化するサイバー・フィジカル・システム(CPS)が実現。また自動車領域への活用例として、交差点における無信号の合流調整や、災害時の最適誘導が可能となり、交通事故のない高度協調型モビリティ社会が実現されるとした、NTTの「モビリティ・バイ・アイオウン(IOWN=Innovative Optical & Wireless Network)」コンセプトを紹介し、講演を締めくくった。
(文=遠藤正賢/写真=IAAE運営事務局/図=総務省)
5G以降の交通社会の将来イメージ
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