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    【IAAE2023:経済産業省】急速に進むデジタル化とグリーン化に日本の自動車産業はどう対応する?

    電動車整備対応を支援する「自動車産業『ミカタ』プロジェクト」など各種支援策を紹介

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    2023/03/23

     2023年3月7~9日に東京ビッグサイトで開催された、自動車アフターマーケット総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2023」。

     セミナー「自動車業界を取り巻く環境変化への対応」には、経済産業省製造産業局自動車課の小島晋之介係長が登壇。自動車産業の近況、とりわけデジタル化とグリーン化を踏まえた同省の取り組みについて講演した。

    経産省の小島晋之介氏

     日本にとって自動車産業は、全産業の約1割に相当する約550万人の雇用を創出するなど、「日本の経済・雇用を支えてきた屋台骨」ではあるものの、その国内市場規模は1990年の778万台(新車販売台数)をピークとして減少傾向に。2022年は420万台と、東日本大震災直後を下回る「45年ぶりの低水準」を記録した。

     海外に目を向けると、2021年実績で市場規模が最も大きいのは中国の2625万台で、次いで北米が1827万台、欧州が1552万台。日本は445万台で、インドは376万台、南米は323万台、ASEANと中東・アフリカはいずれも274万台となっている。

     そうした中、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)技術の進化・普及によるデジタル化とグリーン化が世界的潮流となっており、「自動車の作り方や使い方が大きく変わる可能性がある」と指摘。世界各国が補助金や優遇税制、規制強化などで投資の囲い込みを進めている。

     だがその中身は、地域によって少なからず異なっている。「欧州などはハイブリッド車を排除する、BEV(バッテリー式電気自動車)に特化した目標を打ち出しているのに対し、電池・材料不足への懸念もあることから、日本はカーボンニュートラルに向けた多様な選択肢を用意している」と説明。

    カーボンニュートラルに向けた日欧米中の規制・販売動向

     グリーンイノベーション基金などを通じて、次世代電池・モーターとそのリサイクル技術開発に1510億円、水素サプライチェーンの構築に3700億円、合成燃料の製造・利用技術向上に576億円を投じ支援していることを紹介した。

    電気・水素・合成燃料の各分野に対する支援策の概要

     しかしながら、「欧州を中心に電動化が想定以上に早く進んでいる」ことや、日本政府としても2035年までに乗用車新車販売における電動車比率を100%とする方針を掲げていることなどを受け、経産省も電動化社会構築を促進する取り組みを進めている。

     クリーンエネルギー自動車(CEV)購入補助金で「ガソリン車との差をなくすため」CEVに対し購入補助を行うほか、充電インフラ補助金では「充電時の車両滞在場所・時間に適したインフラが構築されるよう」制度を見直し。

     また、2030年までに蓄電池・材料の国内製造基盤150GWh/年を確立すべく、令和4年度補正予算で3316億円を計上している。

     そして、こうした電動化の流れの中で需要が減少する、エンジン・トランスミッション部品サプライヤーの業態転換や、ガソリン・ディーゼル車の整備工場における電動車整備対応を支援する「自動車産業『ミカタ』プロジェクト」を実施していることを紹介した。

    「自動車産業『ミカタ』プロジェクト」の概要

     講演の最後には、こうしたデジタル化やグリーン化を通じて、「自動車産業の垣根を超えた新たなモビリティ社会が構築される兆しが、すでに現れている」うえ、「ユーザー変革も引き起こされ、競争軸が車両開発のみならず経営モデルにまで広がっている」と指摘。

     岸田文雄内閣総理大臣および関係閣僚と日本経済団体連合会(経団連)モビリティ委員会との対話の場として2022年11月2日に開催された「モビリティに関する懇談会」などを通じ、「モビリティを軸にした成長、モビリティがもたらす未来社会の具体化に向けた議論がまさに始まったところ」であることを示し、講演を締めくくった。


    (文・写真=遠藤正賢/図=経済産業省)

    経団連モビリティ委員会と「モビリティに関する懇談会」の概要

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