JOURNAL 

    KTZ 代表取締役 田中 敏之 氏、取締役  岩間 和浩 氏

    LED製品を通じてボデーショップの課題を解決

    • #インタビュー

    2021/10/19

    今年3月に設立した、カーアフターマーケット向けLED製品を販売するKTZ。
    長年LED照明の製造販売に携わる田中敏之社長と、車体修理工場の経営者でもある岩間和浩取締役に、製品への思いや今後の戦略を聞いた。

    田中 敏之社長(写真右)、岩間 和浩取締役

    ──会社設立に至った経緯は

    田中社長(以下、田中):2019年に発売したLED光源のUV照 射機「KTZ-830」が多くの技術者から好評だったことを受け、LED照明を使った車体修理に役立つ製品の開発により注力すべく新会社を立ち上げた。

    岩間取締役(以下、岩間):田中社長はLED蛍光灯や投光器、街路灯などを幅広い業界に販売しており、LEDに対するノウハウがある。私の工場の照明も田中社長から購入したLED照明を使っており、品質にも信頼がおける。そこで私の工場で使っていた水銀灯のUV照射機を、LED光源に変えたものが作れないかと相談したのが始まりである。

    田中:LEDは紫外線をほとんど放射しないという特徴がある光源である。その利点とは相反する要望だったため、最初は耳を疑った。
     しかし調べてみると水銀灯方式の照射機に比べて熱影響が少ない、寿命が長くランニングコストが抑えられる、といった他の利点も活かせそうだったことから、まずは光の波長についての情報収集から開始。いくつかの試作を経てできあがったのが、最初に発売したKTZ-830である。
     その後は照射機の汎用性や照射範囲の広さなどを追求したモデル「KTZ-1830」や、パネル全面の硬化に対応した据え置き型「KTZ-3969」も発売している。

    最初に発売したKTZ-830を改良したKTZ-1830(写真右)と、大面積の照射に対応したKTZ-3969

    ──製品開発における方針やこだわりについて

    岩間:最初の照射機を出したきっかけは、私の工場の現場作業を少しでも楽にしたいという思いだった。その考えは今も大切にしている。

    田中:製品開発の原点になるのは、岩間取締役をはじめとした車体修理の現場の人々の声である。
     目から鱗だったのは、良かれと思って付けた機能や仕様そのものが、車体修理作業においてはネックになってしまう時があるということだ。たとえばKTZ-830ではUVが減衰するのを防ぐため、照射部に黒のUV浸透ガラスを採用した。
     しかし、これではライトがきちんと照射されているのかどうか分かりにくいという声が多かったため、次に発売したKTZ-1830では透明ガラスに変更している。

    岩間:KTZ-1830に関しては、現在市場に出回っているあらゆるUV硬化型または光硬化型の製品に対応できるという汎用性を特に重視した。日常的に使ってもらえるよう、LED素子の配列なども改良して照射強度は担保しつ<つ、照射面積を拡大している。
     長期間使えることも考慮し、あえてコードレス型ではなくAC100V電源を採用。加えて本体の熱上昇を抑えるため、本体はアルミ合金製にしている。冷却ファンを搭載する方法もあるが、ゴミやホコリが舞いやすいので鈑金塗装には不向きだと思う。

    KTZ-1830は波長の異なる光を照射できるよう、3種類のLED素子を使用。より広範囲を照射できるようにLED素子の配列も考慮されている

    ──製品拡販に向けた戦略は

    田中:まずは自社製品の取り扱い先をさらに開拓することに注力する。ありがたいことにコロナ禍においても県内外からの問い合わせを数多く受けており、各地でデモンストレーションや講習会を開催してきた。
     昨今は新型コロナウイルスの感染拡大が地方都市でも深刻化し、対面での営業活動を見合わせるケースも出ているが、広告出稿やWeb、SNSでの情報発信を継続し、業界内での知名度を高めていきたい。
     また、製品ラインアップの拡充に合わせて、照射機や調色ライトなど全4製品をセットにしたリースプランを用意した。個人で鈑金塗装業を営む技術者、複数台導入を検討している工場など、より多くの技術者の手にとってもらえることを期待している。

    岩間:数あるSNSの中でも、特にInstagramは動画や写真を載せることでボデーショップの経営者や技術者からの問い合わせが増える。やはり文章で説明するよりは写真や動画で説明するほうが反響がある。新たな顧客開拓の手段としてWebでの情報発信は継続していく。
     とは言え、対面での講習会やデモンストレーションで実物を見てもらい、試してもらうことで導入を決断する工場が多いのは事実である。工場に製品を勧めてくれる販売店も、対面で講習を受けたほうが製品の特徴をより理解しやすいのではないかと感じている。
     時節柄、対面での講習は制限を受けやすいが、リアルな交流は今後も大切にしていきたい。

    対面でのデモに重きを置いているが、最近ではビデオ会議システムを使ったオンライン講習も実施している

    ──読者に向けて一言

    田中:2017年に施行された法律により、昨年末をもって水銀灯の製造及び輸出入が禁止された。蛍光灯に関しても、各メーカーが続々と製造終了を発表していることもあってか、LEDはますます普及していくものと見ている。
     今後は安価なLED製品が出回ることも想定されるが、我々はこれまでのノウハウを基にして高品質なLED製品を提案する。大型塗装ブース用の照明や磨き作業に適した作業灯、ビニールブースでの作業に役立つ誘虫ライトなど、ボデーショップに寄り添う製品を今後も続々と投入していきたい。

    岩間:我々は作業時間短縮だけを強調するのではなく、高品質な修理に寄与することを最優先にしている。自社での経験も活かしつつ、全国のボデーショップの声に耳を傾けてより良い製品を提供していく。

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