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    トヨタ自動車、水性塗料乾燥機「carwork」を発表

    • #トピックス

    2021/01/15

     トヨタ自動車は12月18日、ネッツトヨタ富山(笹山泰治社長・富山市) にて水性塗料乾燥機「carwork(カーワーク)」の発表を行った。同製品は、赤外線放射により塗膜を直接加熱するもので、従来の温風ドライヤーと塗装ブースによる熱風加熱に比べて乾燥時間が短いのが特徴。水分が蒸発しにくい高湿度の条件下で乾燥時間を従来より3割減らせる。
     ランプメーカーのメトロ電気工業(川合誠治社長、愛知県安城市)の赤外線ヒーターを採用。水分子に反応する波長を出すことが特徴の赤外線ランプは特許を取得しており、反射板からエアが噴出され、ランプに塗装ミストの付着を防ぐ技術は特許出願中である。パネルの材質を問わず、対象物から400mmの距離を保った状態で乾燥機を手動で動かし、開始位置・回転位置・終了位置をタッチパネルで記憶させることで、乾燥機が自動走行をするのも大きな特徴。これにより作業時間の短縮だけでなく、乾燥に人手を割く必要がなくなる。乾燥機には国内外の塗料メーカー9社の塗料データが入っており、使用する塗料に合わせた最適な乾燥時間を自動で計算する。

    乾燥機横のタッチパネルで移動個所を記憶させることで自動で乾燥をする

     赤外線による乾燥は、それまでの熱風乾燥と異なりホコリやゴミを巻き上げにくく、ブツの付着を少なくするため磨き時間が短縮される。また、塗装ブース内の冷却が不要となるので、車両入れ替えの待ち時間も1台当たり約10分短縮される。同製品は既存のブースの天井部にレールを取り付けることで設置できる。

    赤外線ランプ。細かな黒い穴から出るエアがランプへの塗料付着を防ぐ

     トヨタ自動車BPサービス推進室の木全厚室長は、「乾燥システムを開発することによって水性塗料のネックだった乾燥時間を大きく短縮できた」とし「トヨタBPサービスが目指す地球環境への取り組み、幸せの量産への取り組みを念頭に、引き続きスタッフに安全安心に働いてもらうための水性塗料の導入推進を続けていく」とコメント。

    開発経緯を説明する木全厚室長

     2006年に全国のトヨタディーラーで水性塗料導入第1号となり、2011年に100%水性化を達成したネッツトヨタ富山のBP工場(富山市)で行われた実演デモでは、用意したパネルに水性塗料を塗装し、carworkと既存の乾燥方法による仕上がりの差を披露した。
     carworkは2月からディーラー内製工場を中心に設置を進め、その後一般のボデーショップにも販売予定。アフターサービスと商品指導についてはスピーディ(浦澤澄社長、東京都江戸川区)が担当する。

    乾燥機と温風ドライヤーによる乾燥差を見る実演デモ

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