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    車を洗えば軽補修、鈑金塗装へと誘導できる

    【BSRweb独自連載】洗車で始める顧客獲得 第6話

    • #一般向け

    2022/09/15

    本荘興産・平井社長による「洗車で始める顧客獲得」の第6話。今回は洗車を通じて軽補修、鈑金塗装をどのように獲得すべきかについてお話しします。
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     軽補修を収益化するには、生産性アップが欠かせません。それには軽補修とはどんなものなのかを定義づけし、できることを絞り込んで作業効率化を図ることが重要です。大手軽補修チェーンの場合、軽補修に対する潜在的なニーズの調査、顧客へのアプローチ手段などを磨き上げ、より分かりやすく利用しやすいサービスへと進化させてきました。彼らの本来の商材であるこの仕組みがあるからこそ、「楽に、早く」補修できるのです。

    軽補修だけで顧客は獲得できるのか

     カーオーナーにとって軽補修は通常の鈑金塗装より利用しやすいものではありますが、顧客獲得において最も重要であるリピート利用を促進するには、軽補修だけでは不充分です。カーオーナーにとって車をこすったりぶつけるのは不幸なことであり、「事故を起こした時にはまた当店をご利用ください」と安易に声をかけるわけにもいきません。
     つまり、これまで鈑金塗装をメインにしてきた車屋さんであれば、手軽に利用できる軽補修に加えてお客様との接点となるサービスを確立してお客様に宣伝することが必要です。それには軽補修よりさらに気軽に利用できるものが適しています。その場で声を掛けられても「お願いしてみようかな」とすぐ決めてもらえるぐらい手軽なサービス……それは「洗車」ではないかと私は思います。

    車を洗えば商機が見つかる

     そもそも、通常の鈑金塗装においても作業前にはまず車を洗うことが基本です。それによって隠れていた傷が見えるようになり、格段に作業しやすくなります。見方を変えると、日ごろから洗車していれば、傷や凹みが見つかった時には補修を提案できるチャンスがあるということです。 前回もお話しした通り、少し擦ってしまった傷を自費で直したいというニーズは確かに存在します。しかし、カーオーナーから直接仕事を受ける機会がほとんどなかった一昔前では、そうしたニーズをくみ取ることは難しかったでしょう。

     今成功している車屋さんの多くは、リピート利用が見込めるサービスをフックにしてお客様と接点を作り、そこから他のサービス利用へとつなげています。洗車を通じて来店回数が増えたお客様に対し、リペアを通じて自社の修理技術をアピールできれば、もし本格的な鈑金塗装が必要になった時にはまた利用してもらえるはずです。これまで培ってきた技術を生かし、特にニーズが高い軽補修をメニュー化して提供できるのが、鈑金塗装工場の強みであると言えます。
     車屋さんにとって洗車は日常的な行為ですが、カーオーナーにとっては面倒なことであり、定期的にやるというよりは汚れが気になった時にやるもの、という認識のようです。
     しかし、今なお自宅で洗車するカーオーナーが多いのは、店舗に洗車をお願いすると高くつくという考えがあるからでしょう。そこでまずはワンコインで洗車が受けられる、というイベントを開催し、プロの手洗い洗車を体験する機会を増やしていくことをお勧めします。昨今はセルフ式のガソリンスタンドが増加し、門型洗車機による洗車が一般的になっています。そんな中でボデーのプロによる手洗い洗車、というキーワードは非常に魅力的に聞こえるでしょう。

     単に技術を安売りするのでなく、質は高く保った上で、やることを絞ってそこを効率化してゆく。「楽に、早く」はコンビニやファストフードなどの身近なものから、車や電車といった交通インフラに至るまで、あらゆる業種において、成功するビジネスに共通するキーワードです。
     これをうまく取り込んで明確なビジネスモデルを作り上げられれば、鈑金塗装には大きなチャンスがまだまだたくさんあると私は考えています。

    1ヵ月に 1回以上洗車する層は約3割。どちらかと言えば汚れが気になった時や気付いた時に洗車する層が多い傾向にある(出典:レソリューション「『洗車』に関する調査」)

    店舗に洗車を依頼するのは「料金が高い(高そう)」というカーオーナーは多い。一方で「便利」、「丁寧に洗車してくれる(してくれそう)」と考える層もいるため、これらはPRポイントになり得る(出典:レソリューション「『洗車』に関する調査」)

    著者プロフィール



    平井新一(ひらいしんいち)
    株式会社本荘興産 代表取締役社長
    岡山県倉敷市出身 1974年生まれ

    大阪の音楽系専門学校を卒業後、北海道の美装専門店での現場修行を経て1999年に同社へ入社。営業担当として全国を飛び回る傍ら、国産カーメーカーの純正ボデーコーティングの企画・開発にも関わる。2014年より現職。
    近年は洗車ビジネスに関するセミナー講師やクライアント企業のブランディング・PRのサポートなどにも取り組んでいる。

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