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    韓国大手塗料メーカー・KCC、 国内自補修分野に進出

    水性塗料・SUMIXを中心に水性化推し進める

    • #トピックス

    2021/06/08

     韓国の大手塗料メーカー・KCCは、日本国内で水性塗料「SUMIX(スミックス)」を中心とした自補修塗料製品の販売を開始。長野県を地盤とする塗料販売店・NCC(本社=長野県伊那市)と協業して拡販する。
     日本市場への参入に当たり、同社の日本法人・KCC JAPANに業界への展望や製品及びサポート体制などについて聞いた。

    伊藤雄一次長、ユン・チャンス課長(左)

     KCCは船舶、建築、自動車向け塗料のほか、セラミックやガラス繊維、天井材や断熱材といった建材に強みを持つ総合化学メーカー。自補修分野においては韓国内で約4割のシェアを占めている。

     KCC JAPAN(田代直之社長、東京都千代田区)は2013年に設立。3年ほど前から塗料関連の総合展に出展するなど、日本市場進出に向けて準備を進めてきた。
     NCCとは、KCCが展開する粉体塗料がきっかけで協業体制を構築。SUMIXの塗装実演を中心としたPR活動に注力している。

     同社の営業担当であるユン・チャンス氏は、日本市場進出のきっかけについて「市場規模が韓国の4倍近くある一方、塗料の水性化があまり進んでいないことから、我々のノウハウが活かせるのではないかと見ている」と説明する。
     
     韓国ではVOC排出規制の対象となる物質ごとに排出基準が定められており、日本以上にVOC規制への意識が高い。そのためボデーショップでも水性化へのニーズは高く、KCCでは現代(ヒュンダイ)自動車の直営サービスセンターの上塗り100%水性化をサポートしており、2014年に完全水性化。この経験を糧に、日本市場に挑戦する。

     その先に見据えるのは、東南アジアへの進出である。各国ともめざましい経済成長を続けている上、日本車の人気は高い。そのためにも当面は日本市場での認知度向上とシェア獲得を重要視する。

     主力製品であるSUMIXベースコートは、樹脂2種類、原色74色からなるバインダー型。そのほか1液型のバンパープライマー及びプラサフ、2液型溶剤ノンサンディングサフェーサーも用意する。
     
     クリヤーは現代自動車のサービスセンターでも使われている、3:1のハイソリッドタイプが主力。韓国内では2:1クリヤーが一般的だが、作業性の観点から日本の技術者は同製品を支持する声が多いそうだ。
     
     課題としていた日本車の配合データについては、昨年12月から韓国にある研究所で作成し、順次追加されている。配合データはWebサイト上で検索できるほか、今夏にはアプリがリリースされる予定である。
     また、調色作業を補助する測色機と計量器も用意。AIデータの活用により、カラー検索及びマッチングを自動で行う。

    主力製品のSUMIX

     新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一時は営業活動の自粛を余儀なくされていたものの、今年に入りようやく国内のボデーショップへの導入が決まった。

     拡販においてはNCCの営業担当者と同行し、現場の声を徹底的に拾い上げることに注力。「決して前向きな意見ばかりではないが、品質に対しては一定の評価が得られている」と期待感を示す。

     このほかWebサイトやメールマガジン、SNSを通じた情報発信も継続していくが、最も重視するのはユーザーとの対話である。「外資系メーカーは日本から撤退してしまうのではないかという印象を持たれがち。こうした草の根活動を通じて顔の見えるメーカーであることを理解していただき、ユーザーと距離の近い存在になることを目指す」。

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