JOURNAL 

    ツールプラネット 代表取締役 浅野一信氏

    徹底した現場目線の開発で、技術者のニーズに応える

    • #インタビュー

    2021/09/15

    ツールプラネット(浅野一信社長、岐阜県岐阜市)は、「TPM1000」を2010年3月に発売して以来、自動車の進化に合わせてアップデートを図りつつも、使用頻度の高い機能を厳選して搭載することで価格を抑え、業界のスキャンツールの普及に寄与してきた。ハードウェアからソフトウェアまで一貫して自社開発する同社。開発に際して重視している点や今後の方針などを浅野社長に聞いた。

    浅野一信社長

    ──どのような体制で開発に臨んでいるのか?

     エンジニア10人体制で開発に当たっている。一般的にエンジニアによってソフトウェア設計とハードウェア設計の得手・不得手があるが、当社にはその両方を得意とするエンジニアが3人いる。
     自動車技術だけでなく、通信規格も時代を追うごとに変化しており、それに伴うハード設計の変更の際、両方を手掛けられる人材がいるのが当社の一番の強みだと言える。

    ──スキャンツールを開発する上で重視している点は?

     昨今、診断機によって機能に大差はなく、できる整備作業に変わりはない。だからこそ、常に機器を使用する技術者のことを考え、使いやすさを重視した開発に努めている。
     画面に表示される手順に沿えば誰でも作業できる操作性はもちろん、その文字が年配の技術者でも読みやすいかどうかフォントにも注意を払いながら画面構成を考えている。
     また、独自の機能を付加することで差別化を図っている。昨年発売したTPM-5には、使用頻度の高い機能をまとめた「特殊機能」を実装し、利便性を高めた。
     販売価格を抑えることも重要。機能を実装し過ぎると価格は高くなってしまう。どのような技術者に使ってもらいたいかというコンセプトと販売価格を先に決め、その中で特に使用頻度の高い機能に絞り込み作製する。また企業努力として、適宜ハードウェアの見直しを行い、コストダウンにも努めている。

    ──特定整備ならびにOBD車検への対応は?

     特定整備のメインとなるエイミング作業においては、ほぼすべての国産乗用車のADAS調整に対応するほか、特殊機能の中にエイミングのメニューを入れ、すばやく調整作業に移ることが可能。また、フロントカメラの調整に特化したターゲットセットも用意する。
     OBD車検については、まだ制度自体の詳細が決まっていないが、特定DTC(故障コード)照会アプリとの連携は実証済みで、すでに準備は整っている。

    ──今後の開発方針について

     一部の機能に特化したより専門性の高いツールの開発を進めていく。機能を絞り込むことで販売価格が抑えられ、2台目、3台目を購入する際の選択肢としてラインアップをそろえていきたい。
     現在、スマートフォンを利用するエイミング作業に特化したツールを開発中。スマートフォンにアプリをインストールし、OBDコネクターに専用端子をつなげて通信させることで操作する。今後、エイミング作業の頻度が高くなるボデーショップに向けて、アピールしていきたい。


    ──読者へ一言

     これから今まで以上にスキャンツールの必要性が高まるのは間違いない。今後も継続して、自動車の進化に合わせてアップデートを図りつつ、徹底した現場目線で誰もが分かりやすく、使いやすいスキャンツールを開発し、技術者のニーズに応えていく。

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