JOURNAL 

車屋の未来、もう始まっている。 第1話:財布の中の最後の牙城

~マイナ免許証と、静かに変わる車の世界~

  • #コラム

2026/07/27

車屋の未来、もう始まっている。#1

車屋の未来、もう始まっている #1
マイナ免許証で何が変わる?

「免許証だけは変わらない」と思っていた


チャジェ子
「族長、免許証って最後まで残ると思ってた。」


ある日の昼休み。事務所の机の上には、車検証のコピー、名刺、メモ用紙、ペン。その横で、チャジェ子が語り掛けてくる。


族長:
「何の話?」

チャジェ子:
「運転免許証だよ。保険証も変わったし、銀行もスマホになったし、行政手続きも電子化してるじゃない?でも運転免許証って、ずっと変わらない感じがあった。」

族長:
「ああ、身分証の王様みたいな存在な。」

チャジェ子:
「そう。でも、その最後の牙城にも来たっぽいよ、マイナ免許証。」

族長:
「…うん。…ごめん正直まだよく分かってない。」

チャジェ子:
「安心して族長。分かってない人、結構いるから。しかも、これ“免許証が消える話”じゃないし。まず誤解されやすいんだけど、今の免許証はなくならない。」


族長:
「え?」

チャジェ子:
「持ち方は3種類。」

  • 今まで通り免許証だけ
  • マイナ免許証だけ
  • 両方持ち


族長:
「急に全部切り替わるわけじゃないのか。」

チャジェ子:
「そう、むしろ今は選択制。だから“マイナにしないと運転できなくなる”みたいな話ではない。」

族長:
「なんか少し安心した。」

マイナ免許証で何が変わる?

族長:
「でも、何が便利になるん?」


住所変更は"二度手間"から変わる

チャジェ子:
「地味だけど強いのは住所変更だよ。今までって、市役所で変更して、そのあと警察でも変更する、二回行動だった。」

族長:
「あー、あれ面倒だわ。」

チャジェ子:
「条件を満たせば、その手間が減る方向。」

族長:
「なるほど。」


更新講習もオンラインの時代へ

チャジェ子:
「あと更新講習。一部対象者はオンライン受講が使える。」

族長:
「……半日現場止めなくていい未来?」

チャジェ子:
「そこ期待してる人、多そう。」

本当に変わるのは「カード」ではない

族長:
「じゃあ便利じゃん。」

チャジェ子:
「そうだけど、話はここから。車業界目線で見ると、少し話が変わる。」

族長:
「ほう。…で、どゆこと?」

チャジェ子:
「族長、工場が代車貸す時どうする?」

族長:
「免許確認するかな。」

チャジェ子:
「試乗は?」

族長:
「もちろん免許見る。」

チャジェ子:
「レンタカーは?」

族長:
「当然免許確認。」

チャジェ子:
「今って全部、“券面を見る文化”なんだよ。」

族長:
「なるほど、確かに!」


「券面を見る」から「情報を読み取る」へ

チャジェ子:
「でもマイナ免許証は、免許情報がICに入る。つまり将来的には“見る”から、“読み取る”。になる」

族長:
「……あ。そういうことか。」

チャジェ子:
「ここ結構大きいよ。カード変わった、じゃなくて運用が変わる。」

カードの先にあるもの


電子車検証も、マイナ免許証も目指す先は同じ


族長
:
「そう考えると、電子車検証も同じ流れだよね。」

チャジェ子:
「気づいちゃった?実は最近の制度変更って全部似てる。紙から電子。紙からクラウド。紙から連携。車検証も、申請も、免許も、別々に見えるけど、全部同じ方向。」

族長:
「人と車と行政をつなぐ方向ね。」

チャジェ子:
「そう。だからマイナ免許証って、カード統合じゃない。自動車行政のOS更新みたいなもの。」

財布の中で始まった、小さな変化


族長:「…。」


チャジェ子「…。」



族長は財布から免許証を取り出した。少し角が丸くなっていた。



族長:
「でもさ、こういうのって、結局便利になるだけなのかな。」

チャジェ子:
「それは分かんない。便利になる人もいるし、困る場面もありそう。でも、一つだけ言える。」

族長:
「何?」

チャジェ子:
「変化が始まったあとに気づく人より、始まる前に見に行く人のほうが、たいてい強い。」

族長:
「……記事っぽいこと言うじゃん。」

チャジェ子:
「ってか記事なんよ。」


財布の中の最後の牙城だった運転免許証。

次に変わるのは、カードなのか。

それとも、私たちの仕事のやり方なのか。

案外、その答えはもう始まっているのかもしれない。


次回予告

マイナ免許証は、単なるカードの変更ではありません。
行政は今、「見る」から「読む」へ静かに舵を切っています。
次回は、その変化が意味する本当の理由を一緒に考えてみます。

▶ 第2話:なぜ行政は“見る”をやめて“読む”へ進むのか

独自調査とデータから、自動車業界の未来を探る『モビリア総合研究所』